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相続人の中に認知症の人がいる場合

2026/09/2

相続人の中に認知症の人がいる場合、相続手続きはどうなる?

遺産分割協議と成年後見制度を司法書士が解説

 

【質問】相続人の中に認知症の人がいる場合、遺産分割協議や相続登記はできますか?

親族が亡くなり相続が発生したものの、

  • 相続人の一人が認知症である
  • 施設に入所しており、遺産分割協議の内容を理解できるか心配
  • 認知症の母親の代わりに子どもが遺産分割協議書に署名してよいのか
  • 相続登記を進めたいが、認知症の相続人がいて手続きが止まっている

このようなご相談は少なくありません。

では、相続人の中に認知症の方がいる場合、相続手続きはどのように進めればよいのでしょうか?

 


【結論】認知症の程度によっては、そのまま遺産分割協議を進めることはできません

相続人の中に認知症の方がいる場合でも、必ずしもすべての手続きができなくなるわけではありません。

ただし、認知症によって遺産分割協議の内容を理解し、自分の意思で判断することが難しい場合には、本人がそのまま遺産分割協議を行うことはできません。

このような場合には、原則として家庭裁判所に申立てを行い、成年後見人などを選任した上で相続手続きを進めることを検討します。

認知症の相続人を遺産分割協議から除外したり、家族が本人に代わって勝手に署名・押印したりすることはできません。

相続人全員が参加していない遺産分割協議や、判断能力が十分でない方が適切な代理人なしに行った協議は、有効性が問題となる可能性があります。

 


【理由】遺産分割協議は「相続人全員」で行う必要があるためです

遺産分割協議とは、亡くなった方の財産を「誰が、何を、どのように相続するか」を相続人同士で決める話し合いです。

例えば、

  • 自宅の土地・建物は長男が相続する
  • 預貯金は長女が相続する
  • 不動産を売却して相続人で分ける

といった内容を決めることになります。

この遺産分割協議は、原則として相続人全員の合意によって成立します。

そのため、「認知症だから話し合いに参加できない」「意思表示が難しい」という理由だけで、その相続人を除外して手続きを進めることはできません。

また、「家族だから代わりに署名しておけばよい」というものでもありません。

認知症の方に十分な判断能力がない場合には、その方の財産や権利を守るため、成年後見制度などを利用して適切な代理人を選任する必要があります。法務省も、判断能力が不十分な方については、財産管理や遺産分割協議などを自分で行うことが難しい場合があるとして成年後見制度を案内しています。

 


【具体例】認知症の母親と子ども2人が相続人の場合

例えば、父親が亡くなり、

  • 妻である母親
  • 長男
  • 長女

の3人が相続人になったとします。

しかし、母親は認知症を患っており、遺産分割協議の内容を理解して判断することが難しい状態でした。

この場合、長男と長女だけで、

「母親は相続しないことにして、父親の不動産は長男が相続する」

と決めることはできません。

また、長男が母親の実印を預かっているからといって、母親の代わりに遺産分割協議書へ署名・押印することもできません。

母親に十分な判断能力がない場合には、家庭裁判所に成年後見開始の申立てを行い、選任された成年後見人が母親の代理人として遺産分割協議に参加することになります。

 


成年後見人が相続人でもある場合は「特別代理人」が必要になることがあります

ここで、さらに注意が必要なケースがあります。

例えば、認知症の母親の成年後見人が長男であり、その長男自身も父親の相続人である場合です。

長男は、

  • 自分自身の相続人としての立場
  • 母親の代理人としての立場

の両方を持つことになります。

このような場合、長男の利益と母親の利益が対立する可能性があり、「利益相反」の問題が生じます。

そのため、成年後見人が本人とともに相続人となっているなど、利益相反がある場合には、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要がある場合があります。裁判所は、共同相続人である成年後見人と本人との遺産分割協議などで利益相反が生じる場合、特別代理人を選任する手続きを案内しています。

 


【必要な手続き】相続人に認知症の方がいる場合の手続きの流れ

1.まず、認知症の方の判断能力を確認します

「認知症と診断されている=必ず遺産分割協議ができない」というわけではありません。

重要なのは、遺産分割協議の内容を理解し、自分の意思で判断できる能力があるかどうかです。

そのため、まずは本人の状態や医師の診断、生活状況などを確認します。


2.成年後見制度の利用が必要か検討します

本人に十分な判断能力がない場合には、家庭裁判所に成年後見開始の申立てを行うことを検討します。

成年後見人が選任されると、成年後見人が本人の法定代理人として、本人の権利や財産を守りながら相続手続きに関与します。


3.利益相反がないか確認します

成年後見人となった方自身も相続人である場合などは、利益相反の問題が発生する可能性があります。

その場合には、特別代理人の選任など、追加の手続きが必要になることがあります。


4.遺産分割協議を行います

必要な代理人が選任された後、相続人全員または適切な代理人が参加して遺産分割協議を行います。

相続財産の内容や本人の利益を十分に考慮しながら、誰がどの財産を相続するかを決めます。


5.遺産分割協議書を作成し、相続登記などを行います

遺産分割協議が成立した後、

  • 不動産の相続登記
  • 預貯金の解約・名義変更
  • その他の相続財産の承継手続き

を進めていきます。

不動産を相続した場合には、相続登記も必要になります。現在は相続登記の申請が義務化されているため、相続人に認知症の方がいる場合でも、手続きを放置せず、早めに専門家へ相談することが重要です。

 


認知症の相続人がいる場合、手続きを急ぐ前に専門家へ相談することが大切です

相続人の中に認知症の方がいる場合、通常の相続手続きよりも慎重な判断が必要になります。

特に、

  • 認知症の本人に判断能力があるか分からない
  • 家族が本人の代わりに遺産分割協議をしてよいのか分からない
  • 成年後見制度を利用すべきか迷っている
  • 成年後見人を誰にするべきか悩んでいる
  • 成年後見人も相続人であり、利益相反が心配
  • 相続登記の期限が気になる
  • 不動産と預貯金の相続手続きをまとめて進めたい

といった場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

 


【井上法務事務所に相談する場合】

司法書士・行政書士 井上法務事務所では、相続人に認知症の方がいるケースについて、相続手続き全体を確認した上で、必要な手続きを整理します。

例えば、

相続人の調査

戸籍を収集し、誰が相続人になるのかを確認します。

相続財産の確認

土地・建物などの不動産をはじめ、相続手続きが必要な財産を整理します。

成年後見制度の利用に関するご相談

認知症の相続人について、成年後見制度などの手続きが必要となる可能性を確認します。

家庭裁判所へ提出する書類作成のサポート

成年後見開始申立てや、状況によって必要となる特別代理人選任など、家庭裁判所での手続きについて必要書類の作成をサポートします。

遺産分割協議書の作成

必要な手続きを経た上で、相続人間で決まった内容を適切な遺産分割協議書として整理します。

相続登記まで一貫して対応

遺産分割協議が整った後は、不動産の名義変更である相続登記まで進めることができます。

相続人の中に認知症の方がいる場合、「誰が相続するか」を決める前に、まずその遺産分割協議を誰が有効に行うことができるのかを確認する必要があります。

手続きを誤ると、後になって遺産分割協議や相続登記に影響が出る可能性もあります。

 

「相続人に認知症の親族がいる」

「遺産分割協議を進めてよいか分からない」

という場合は、相続手続きを進める前に、まず司法書士・行政書士 井上法務事務所へご相談ください。

 

状況を丁寧に整理し、成年後見制度、遺産分割協議、相続登記まで、それぞれのご家庭に必要な手続きを分かりやすくご案内いたします。

困ったことがあったらまずは、ご相談ください

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